「窒素肥料ってどれを選べばいいの?」――園芸コーナーで何度もそう聞かれました。私は元ホームセンター店長として、何百人もの家庭菜園ユーザーや農家さんに肥料を案内してきましたが、実は“窒素肥料”と一口に言っても性質や使い方はまったく違うんです。
例えば、「すぐに効いてほしいから尿素を使ったけど、葉ばかり茂って実がつかない…」「魚かすが良いって聞いて買ったけど、ニオイがきつくてご近所に気を使う…」そんな相談をたくさん受けてきました。
間違った窒素肥料を選ぶと、野菜が育たなかったり、病害虫が増えたり、さらには土壌が悪化することもあります。自己流で選ぶ前に、ちゃんと特性を知っておくべきなんです。
この記事では、そんなお悩みを解決するために、現場経験からわかった「窒素肥料の違いと選び方」を初心者にもわかるように解説します。
このままだと、せっかく育てた野菜がうまく育たないかもしれません。そうならないために、まずは“肥料の中身”を知ることから始めましょう。
知らずに使うと損するかもしれませんが、この記事を読めば“自分に合った肥料選び”ができるようになります。
一緒に、野菜づくりや園芸をもっと楽しめる土台を作っていきましょう!
窒素肥料の違い一覧表
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肥料 | 種類 | 酸度 | 成分 | 詳細 |
---|---|---|---|---|
尿素 | 化学肥料 | 中性 | 46% | 水溶性が高く即効性があるので追肥に向いている。 |
硫安 | 化学肥料 | 酸性 | 21% | 施肥量がコントロールしやすいので初心者向け。 |
石灰窒素 | 化学肥料 | アルカリ性 | 20% | 肥料、農薬、除草の3つの効果がある。 |
魚かす | 有機質肥料 | - | 7% | じわじわと効果がでるので元肥に向いている。 |
窒素成分が1番多い
「尿素」
尿素肥料は成分の46%が窒素でできた肥料です。
園芸やガーデニングで窒素を追加したい時に使われます。
窒素肥料の中で最も窒素分が多く、価格も安価で手に入りやすいため多くの農家さんが使っています。ホームセンターでも人気があります。
窒素によって育つ茎や葉を育てるために使われます。また即効性があるので追肥に向いています。
初心者におすすめ
「硫安」
硫安(りゅうあん)は成分の21%が窒素でできた肥料です。正式名は「硫酸アンモニウム」です。
尿素と似ていますが、窒素成分は半分程度という違いがあります。しかも尿素が中性なのに対し、硫安は酸性です。
水に溶けやすく即効性があるため追肥に向いています。持続期間が短いため元肥には向きません。
石灰にふれると効果が弱まるので1週間以上ずらしてまきましょう。
土壌をアルカリ性にできる
「石灰窒素」
石灰窒素は成分の20%が窒素でできた肥料です。石灰成分が約60%配合されているので土壌をアルカリ性にする効果もあります。
主に肥料・農薬・除草の3つの効果を持っている化合物です。窒素肥料としての効果や、センチュウやカイガラムシへの殺虫効果、一年生雜草への除草効果などがあり農家さんが使っていることが多い化合物です。
使える作物もナス・ピーマン・きゅうり・はくさい・キャベツ、じゃがいも、野菜類など幅広く使えます。
石灰窒素の農薬登録一覧表(日本石灰窒素工業会)
化学肥料を使いたくないなら
「魚かす」
その名の通り魚の水分と油を抜いて乾燥させたものです。
肥料成分がゆっくり効くため、元肥に向いていますが、他の化学肥料より価格が高めなので使う人は少なめです…しかもニオイが少しあるので住宅街では疎遠されがちで、ホームセンターでも人気が少ない肥料です。
窒素成分は約7%と1番低いですが、有機質肥料のため微量要素を含んでいます。微量要素が含まれていると作物が美味しくなり栄養豊富になります。化学肥料には微量要素は含まれていません。
リン酸も約6%含まれているので、窒素だけ入れたい場合は他の窒素肥料を使いましょう。カリ成分は入っていないので、欲しい場合は硫酸カリで補います。
虫やコバエが寄ってくるので室内や住宅街で使うのは辞めたほうが良いかもしれません…
まとめ|用途に合った窒素肥料を選ぼう
窒素肥料と一口に言っても、実はそれぞれに酸度・成分濃度・効果の出方・向いている使い方がまったく異なります。
今回ご紹介した4種類の窒素肥料の特徴をおさらいしましょう。
- 尿素:中性で窒素量が最多。即効性があり追肥向き。
- 硫安:酸性で初心者向け。水に溶けやすく使いやすい。
- 石灰窒素:アルカリ性で除草・農薬効果もあり。元肥に◎。
- 魚かす:有機質で持続性あり。微量要素も含むがニオイに注意。
「とにかく即効性がほしい」「化学肥料は使いたくない」「病害虫も気になる」など、目的に合わせて肥料を使い分けることが失敗しないコツです。
私が店頭で対応していたときも、窒素肥料の選び方で野菜の出来がまったく変わったという声を何度も聞きました。
この記事を参考に、ご自身の畑やプランターにぴったりな窒素肥料を選んでみてください。
迷ったら、まずは尿素か硫安から始めるのがおすすめです。
あなたの園芸や家庭菜園がもっと楽しくなりますように!